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1010_書評10:決済の黒船 Apple Pay(日経FinTech選書)(鈴木淳也、 日経FinTech)を読んだ

今回はfintechの中で主に決済に関して調べていきたいなということで、apple payに関してまとめた本書を読みました。感想としては、appleは日本進出にあたって結構苦労してきたんだなということと、世界に向けて何かを広げて行こうという時には、その国の文化監修以外にも、製品の共通規格ややっぱり政治的経済的な要素が大きく関わってくるもんだよなあと感じました。なぜかamazonでの評価は星三つが多いのですが、ここまでのリサーチを加えた本に星三つはないだろ、クソみたいなベストセラーがまかり通る世の中なんだから星五つとまでは言わないまでもせめて四つはつけて然るべしだと思う本でした。以下、本書を読んで感じたことをまとめます。

Apple Payって本当に革命的。ティムクックは本当にビジネスパーソンとして優秀。

この本を読んでティムクックは本当にビジネスセンスがあるなと思いました。この本が少し日本から見た決済システムっていう見方に偏っている部分もありますが、適切なタイミングでモバイルウォレットの分野に進出し、適切な市場にきちんと取り込む部分と妥協点を決めて参入してきているなと感じました。具体的には、apple pay自体は特段早い参入ではなく、google/samsung/アメリカ小売協会などをメインに世界中の金融機関がモバイル決済の分野にはずっとコミットしてきていたのですが、カード会社やら携帯会社やら、共通規格の問題やらでずーーっと足の引っ張りあいをして疲れ切ってgoogleやらカード会社やらどこもかしこもモバイル決済の独占から疲弊し撤退したそのタイミングにアップルさんも参入して、撤退した金融機関も柔和な対応をするようになったので比較的参入もスムーズにいったような話が書かれてました。参入が容易というのは足の引っ張り合いが以前よりは薄くなっていたということですね。

日本はガラパゴスすぎる

appleが日本のモバイル決済(apple pay)の参入でてこずっていたのが、決済における認証通信方式によるものだそうです。
-日本:Felica(suicaなど)
-海外:TypeA/TypeB(海外のNFCシステム)←海外はほとんどこれ
とのことで昔々sonyなんかがNFC(Near Field Communication)は、かんたんにいえば「かざして通信」で世界の最先端をいっていたらしく、それがpasmoやらsuicaやらに取り込まれていたらしいです。それがFelicaです。EdynanacoSUICAPasmoなど大体のものに適用されています。これが海外では全く採用されていないらしく(海外はTypeA/TypeB)、海外で買ったapple payを日本で使ってもその認証システム(felica)が適応されていないので使えないらしいです。(本が書かれている当時で今はわかりませんが)。それに加えて、一応海外製のものにもfelica/typeA/typeBのNFCは内臓させることができるらしいのですが、felicaを対応させるためには日本のNTTなどと契約関係を結ばないとダメらしく、こういうところが本当にガラパゴスだなあと感じました。それゆえ、海外で使ったiPhoneではapple payが日本では完全には使えず、日本でかったiPhoneでは日本独自でapple pay使えるという仕組みになっているそうです。日本のiphoneは海外でapple pay使えるのかな?

決済はやっぱりセキュリティが肝

apple payが響くということに気づいて、世界中のIT企業や金融機関が再度参入してきています。そこには世界4大カードブランド(american express/discover/mastercard/visa)も注目しているし、世界の決済は繋がるということをみんな夢見ています。apple payはセキュリティがしっかりしているなと思っていて、touch ID(指紋感知)によって店側の悪質なスキミングを防止しているし、iphoneだけでなく、macbookでも使える。

ネット利用するときも金融情報を渡さずに一時的に生成されるトークン情報で管理しているし、もしiphoneをなくしてしまっても、iphone seachアプリで遠隔操作でapple payの情報を取り消して、新しいiPhoneでまた設定すれば良い。金融機関やカード会社に待たされたり、多くの手続きを踏むこともない。 トークン管理なので、家族それぞれの支払限度額の設定もドメイン管理できる。

早く世界中が同じ決済方法でつながってほしい

NFCの特殊性やらいろいろ政治的な問題が付きまとって世界全体で同じ決済方法で済むというふうにはいかない。ただ、中国のalipayやwechatみたいなバーコード決済なら世界を乗り越えられる。デジタル化によって決済のステップを減らし世界中から財布をなくし、AIやロボットによって単純作業は代替されて、ブロックチェーンによって低コストで価値や資産移動を保証可能な環境をあらゆるデジタル金融資産で作れる未来が来るかもしれない。そうすれば人は決済という煩わしいものに時間をかけず、単純なオペレーションもロボットに任せて、もっと意義ある思考に時間を当てられる未来を作ろう。未来を予測するのではなく、夢想する未来を自分たちの手で作ろう。