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1005_書評6:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 17年8月号 (ブロックチェーンの衝撃)を読んだ

本書で世界的なブロックチェーンへの関心の高まりだろうか、ブロックチェーン関連の特集が組まれた。以前立ち読みして少し見ていたので、今回、改めて全編通して読み通した。

この本はブロックチェーン、仮想通貨に関して5編の寄稿から成り立っている。登場人物は以下の5人。

1.ブロックチェーン活路は人工知能との連携にあり 北野宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長 2.ブロックチェーン:ビットコインを動かす技術の未来 鳩貝純一郎 「ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術」翻訳者 3.仮想通貨に「信頼」は成立するのか 国立情報学研究所 准教授 4.ブロックチェーンと企業戦略 マルコ・イアンシティ ハーバード・ビジネス・スクール教授 5.Fintechで勝ち取る企業の条件 林野 宏 クレディセゾン 代表取締役社長

この本を読んで色々感じたこと、今までブロックチェーン、仮想通貨に関して考えてて事業をする際に何かうまい切り口はないかなと考えていてなんとなく感じたことがあった。

ブロックチェーンの浸透には時間がかかる

ブロックチェーンに関してずっと調べているがおそらくこの技術の浸透には結構時間がかかるような気がする。理由は、小さくプロダクトを作ればそのプロダクトだけでプロダクト以外に調整作業など必要なくひとりでに社会に浸透して行く「破壊的な技術」ではなく、既存の経済・法律・政治システムと協調をとり、話し合い、少しずつ少しずつ社会との協調の上で旧体制のレガシーシステムを完全に置き換える「技術的基盤」であるからである。

インターネットの成り立ちと似ている

インターネットは僕らが生まれるより昔から少しずつ社会への実証実験とともに育っていった。それが社会に完全に取り込まれ、僕らの生活の一部になったのは、TCP/IPが1970年代にIEEEからA Protocol for Packet Network Interconnectionという論文が発表され、それがARPANET上で研究者たちがメールの送受信のためにTCP/IPが単体で使われた。その後、社内で非公開の情報共有ネットワークを築くために用いられ、その後1980年から1990年代にはサンマイクロシステムズ、ネクスト、HPなどの多くの企業で導入され、WWWによってインターネットで世界は繋がり、既存の産業を置き換えるためにアマゾンは仮想空間上の本屋に、エクスペディアはネット上の航空チケット販売所、になった。その後、P2Pアーキテクチャーによって既存の商業システムとは全く異なるものになった。個人間でのやりとりによってビジネスが成り立つようになった。通信技術で言えばskype、リンクによって世界の情報に飛ぶ検索エンジンを作ったgoogleなどだ。こんな風に、インターネットの成り立ちと同じようにブロックチェーンはきっと世界をよりよくする。だけどそれを長期的なスパンで、未来を先読みし、忍耐強く、未来を信じて仕組みを作り続けるべきだと思った。

ブロックチェーンはインターネットによって広がった貧富の差を補完しうる

インターネットは多くの人に一部の人にしか得られなかった情報へのアクセス、サービスへのアクセス、個人の声を世界に届かせる、国境を越える、人々の暮らしを便利にするなどのメリットを与えてきた。確かに大部分の人の生活は豊かになったけど、ある種資本主義の経済システムから外れた人にとっては、情報格差によって貧富の格差が拡大したとも言える。本来、世界中の全ての人に等しく同じ機会の平等をもたらすために作られたものなのに実際は多くのIT企業が巨万の富を築き、富の集中が起こり、貧富の差と情報格差を生んでいる。ブロックチェーンはそんな資本主義の概念から外れた人の助けになりうる。例えば、銀行口座やクレジットカードを持てない人の金銭の送受信の手段として。資金力がなく多くの人たちが弁護士、会計士、労務士などの専門家などをやとえなかったり、買い掛け金、売掛け金に悩まされていても、スマートコントラクトなどの技術によって管理コストは劇的に減るし、金銭の移動も低コストで即時性を持つことができる。もう組織の大きさ、お金やものをたくさん持っていたり、権威が何より重要な時代じゃない。