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1013_書評13:再起動 リブート―――波瀾万丈のベンチャー経営を描き尽くした真実の物語(斎藤徹)を読んだ

今日は本当は読む気が無かったのですが、たまたま本棚で見かけて、前に、少し目を通したことのある齋藤徹さんの本を読みました。世の中には輝ききらめくような起業家のサクセスストーリーは脚色されたエピソード含めて上手く描かれた本は腐るほどあります。しかし、今の僕が知りたいのは上手くいく方法はもちろんですが、成功までの道のりの中でどのような危険箇所に出くわす可能性があるのか、それを前もって知っておくことです。

そうすることで、様々な困難に出くわしても「あ、これ本で読んだアレやん。キッツイなあ」と何度でも大きな困難から再起動(リブート)してやろうと感じることができます。そのマインドセットと危険箇所のサンプルを人生の先輩から獲得したいと思い読むことにしました。

端的に言って読んで正解です。というか買って常に手元に置くようにします。起業家、何かに挑戦する人は持っていた方が良いです。

印象に残ったフレーズ

緊急事態だ。考えだせばきりがない。考えれば考えるほど全てを投げ出したくなってくる。心に迷いが生じれば、奇跡を起こすことはできない。迷いや悩みは未知なる明日を恐れて自らの心が生み出した妄想に過ぎない。そして、その妄想こそが僕たちの行動を著しく弱々しいものにしてしまう元凶なのだ。

この感覚はすごくよくわかる。

僕はこれまでの経験から、自分自身の心の弱さを客観的に理解していた。今、目の前にある現実に集中し、自分が影響を与えられる範囲で、自らのすべきことを決める。後は何も考えずに実行あるのみだ。昨日の後悔も、明日への恐れも頭から排除する。目の前の現実しか見えないマシンになりきるのだ。それができなければ、この苦境は乗り越えられない。

パニック状態はまさにこれ。

自らの考え方をコントロールできるのは自分自身だけだ。修羅場における心の持ち方は、すでに僕の細胞の隅々にまで深く浸透していた。

守銭奴だと蔑まれてもいい。人の評価を気にするのもやめよう。明日を気に病むのもやめよう。大切なものを守るために全てを捨てよう。そんな断固たる決意のもとに、僕は三本の矢を実行に移した。

銀行やベンチャーキャピタルの性質をわかりやすく見せてくれる作品でした。

晴れた日に傘を差し出し、雨の日に取り上げる。それが金融の常識だ。何度も経験した僕にとってはそれは想定内の反応だった。しかし森村は僕の落ち着いた態度が気に入らなかったらしい。彼はやや声を荒げてこう言った。

保身に保身を重ねる人

「わかってるんですか斎藤さん。倒産するんですよ。ループスは!」 「斎藤さん、本当にこの状況を理解しているんですか?もう資金がないんです。どこにも支払いできないんですよ。どこに打ち手があるんですか?フレックスに続いてループスでも失敗したら、斎藤さんはもう二度と浮上できなくなるんですよ!」

リスクテイカー

僕は心底放っておいて欲しいと思った。森村氏は経営を知らない。修羅場をくぐった経験もない。知らないから怖いのだ。銀行の取り付け騒ぎ然り、株の暴落然り。資本の論理を優先させる人たちの特徴だ。そんな言葉で経営者が動揺し、未来を見失えば、本当に会社は倒産してしまうではないか。自分が不安だからと言って、なぜ人を巻き込もうとするのか。

起業家

「最後まで全力を尽くしますよ。僕たちはー。」

晴れの日に傘くれる人

「わかりました。頑張ってください。私はこれ以上責任が取れないので、取締役を辞任させていただきます。」 森村氏から出たこの言葉で僕はようやく腹落ちした。そうか今日の趣旨はこれだったのか。

晴れの日に傘をくれる人を批判

火事場の中でいかに会社を再建するか悩み苦しむ僕たちと、責任を回避するために一刻も早く辞任したいと考える彼と、その意識の差はどれだけのものだたか。改めて森村氏を眺めると、彼はバツが悪そうに目を伏せた。

ここは名シーン

「森村さん、僕たちはループスを諦めていませんから」 僕は最後の一言に経営者としての矜持を込めた。

此の期に及んでまだそんなことを言っているのか。
森村氏は呆れたような顔をしたが、その時、僕は冷静だった。
この困難はまだまだ解決できる。過去の経験からそう確信していたのだ。

そして現状把握

今、僕たちがすべきことは、目の前の傷口を冷静に直視することだ。それを正確に把握した上で、諦めずに矢継ぎ早に手を打てば、必ず道は開けるはずだ。そこで僕は彼らに提案した。お金を貯めること。コストを減らすこと。受注すること。そしてお金を調達することだ。

人間万事塞翁が馬

「逆境の時こそ、新しく生まれ変わるチャンスだってことは、身にしみてわかったよ。」

「苦しい時こそ素直になることが何よりも大切だったな。反省し、心を開き、助けを請い、誠実に振る舞うこと。そうすることで、新しい自分が生まれて来るのだと思う。」

「社員が好きな仕事に集中できて、それが世の中のためになって、家族も安心して暮らせて。愛と幸せの循環を生み出せることこそが俺たちの理想だな。」

ここがぐうの音も出ないほど納得感のある言葉

それぞれが道半ばだが、自分だけの人生を、小さな成功や失敗を繰り返しながら、誰よりも一生懸命に生きている。実際、人生には価値も負けもないのだろう。あるのは何にも変え難い貴重な体験。そして、再起動(リブート)だ。

人は何度でも挑戦できる。困難は神が与えてくれた絶妙なパズルだ。苦しみが深かったからこそ、僕は自身の心を内観する機会を得て、真の幸せとは何かを自覚することができた。目の前にある困難は、自分自身を成長させるために、神様が頭を悩まして組み立ててくれたオリジナルのパズルなのだ。

恐れずに立ち向かえば、解決の糸口は必ず見つかる。お金や名誉ではなく、自らの心の声に素直になり、心の喜びを目指して突き進むことだ。

誰にでも苦しいときがあるだろう。苦境に陥ると、人は陰口を叩くものだ。徒党を組んで追い落としにかかる人もいる。でも、気にすることはない。その人にもその人の人生があり、家族や友人を大切にして、泣き笑いしながら精一杯生きているだけなのだ。

まとめ

この本を読んで、未来を悲観せず、過去を後悔せず、現実だけを見るロボットになろうと思いました。そして常にどんな困難に出会そうと現状打破の方法を考えることを続け、がむしゃらに行動し、資金調達などには依存しすぎず、一方で頼れる部分は頼れる人たちに頼るという良いバランス感を持った起業家でありたいと思いました^ - ^

世の中にはサクセスストーリーや幸せな話、最後は正義は勝つ的なハッピーエンドのお話はお腹いっぱいでみんなで消費しきれないほど満ち溢れています。ただその背後でその何十倍、何百倍の人が勝負に敗れ、退場を余儀なくされる現実があります。その現実を意識し、厳しさを理解しながらもファイティングポーズをとり、知り尽くした上で楽観主義を貫くために必要なスパイスです。マストバイですね(^ ^)